摘要
張良という『史記』に記された人物は中日両国に有名だと言える。特に彼が若い頃に黄石公に靴を履かせ、兵書をもらった(圯上敬履)という物語は日本江戸時代に愛用された画題として、狩野派及び浮世絵絵師たちによって、数多くの作品に用いられていた。本論は主に江戸時代を中心に、一グループの張良が黄石公に靴をはかせる絵をサンプルとして考察してきた。第一部分では、画壇の主流を占めていた狩野派が如何にこの画題を表現したかを辿りつき、それとともに画題の変化も少しずつ現れてきた。第二部分では、狩野派に対して、庶民の間に人気がある浮世絵師たちが如何に「見立て」という手段で同じ画題を表現したかを討論し、そしてその時代の要求も審美趣味もすこし触れた。第三部分では、江戸時代に起こった張良画題の変化の原因を絵画以外、例えば、文学·芸術·宗教思想·美意識などの面で解明した。本論を通じて、中国の古典題材に日本絵画での継承·発展ぶりに関心を集めれば幸いだと思う。