摘要
現代言語学理論は言語の文法範疇を語彙範疇と機能範疇に分けている。しかし、この二者対立のシステムにおいて、助詞のような判定が微妙になる語も無視できなく存在する。そこで、Fukui(2006)はレキシコンを4種類に分けることを提案している。その中に[-F,-L]という特徴を持つ語が現れている。即ち、自然言語の中に語彙範疇でもなく機能範疇でもない一群の語が存在することを提案している。しかし、このような語の実在さえいまだに確認できない、従って、この提案は長い間注目されていない。この論文は、その支持として、英語のDo-supportとの対照により、日本語の代動詞である「する」がそのような機能範疇にもなれず、語彙範疇の特徴も持っていない語であることを論証している。つまり、この論文は二者対立の不足を補うため、現代言語学の研究がより精細的なレキシコン分類が必要であることを支持している。