摘要
20世紀90年代以来、ガバナンス(governance)という語は昔の意味と違って、新しい意味に賦与され、西方の政治学や管理学領域の学界でよく使われている。我が国の農村研究においては、ガバナンスという言葉もよく引用されているが、多くの研究はただその言葉を使っただけで、その理論視点を使って研究するものが少ない。本論文はガバナンスの理論視点から、戦後日本農村ガバナンスの変遷を分析し研究したものである。主に戦後農村ガバナンスの主な主体である市町村自治体の組織構造、人事制度及びほかの組織との関係など三つの面をめぐって、戦前と比較しながら、戦後のそれらの変遷を考察し、そして、その三つの面はもっと専門化、科学化や民主化になったということを究明した。更にわが国の農村政治問題の解決にもヒントを提示した。