摘要
本稿は明治文豪森鷗外の代表作『高瀬舟』を主なテキストとして、小説の二大主題の独立性を分析する上に、神性的な「毫光」と平凡な「愚者」とのコントラストに焦点をあてて、無意識のうちに「知足」「知止」の境に達する喜助が道家の「愚」に暗合し、その喜助に「毫光」を放たせることは、鷗外創作の最大眼目であると論じる。そのうえ、森鷗外の精神構造における道家思想の影響を検討する。
基金
天津市高等学校人文社会科学研究项目一般项目(项目编号:161077)“从明治精神到大正民主主义——森鸥外与芥川龙之介历史小说比较研究”