摘要
言語文化論の視点で言えば、日本の和歌と俳句は言葉と文化の組み合わさったテクストと考えられ、三十一音節と十七音節のテクストは言語表現の様式だけでなく、日本人の社会文化の審美観や価値観などを表す民族特有の発想様式も映されたもので、テクスト全体は省略短縮、暗示隠喩、余韻余情の表現様式を示している。具体的に表現の様式と言えば、その一は、既知情報を表すと考えられる「ハ」が多用されること、その二は、エンド·フォーカス情報と見られる表現の様式が多用されること、その三は、体言或いは体言止めによって意味の明確ならざる点的表現の様式が多用されることである。これらの多用される表現の様式は、けっきょく日本人の発想に基づいて成された日本人の発想様式の表れで、日本人が長い間に、独特な自然環境及び社会環境の中で経歴、体験したり、社会文化の形成したプロセスの中にできたものであるから、和歌と俳句を読むことによって、日本語表現の様式だけではなく、日本文化に関わっている日本人の発想様式も窺うことができると思われる。