謡曲『石橋』をめぐる獅子舞文化の一考察

はじめに室町時代当初おそらく『志ゝ』と呼ばれ、後に『石橋』の曲名で定着した能作品は、歌舞伎の獅子物演目へと引き継がれ日本の舞踊芸能に多大な影響を及ぼした作品である。日本の獅子舞の源流は、飛鳥時代に日本に伝えられた伎楽だと考えられている。

中日における桃源郷思想の受容と歴史的展開

はじめに『万葉集』に六例、『懐風藻』に九例詠まれている「桃」は、桃源郷思想を背景としたものなど、中国文化の影響が強い。『斉民要術』に、「東方種桃九根,宜子孫,除凶禍」とあり、桃は悪霊邪気を払う。不老長生の仙木としても知られている。本論においては、中日の文学作品をもとに桃源郷思想の交流と歴史を考察する。

日本における牡丹の文化的受容——謡曲「石橋」を中心にして

序謡曲「石橋」の舞台では、紅白の牡丹を配置した所作台にて獅子に扮装した後ジテが、舞狂う場面を見せ場とする。獅子は文殊菩薩の使獣として舞うのであるから、花を配するなら「牡丹」ではなく文殊菩薩のアトリビュートである「蓮」と組み合わせることが最も自然である。

日本人の死生観 浄土思想と五臺山文殊信仰

はじめに有限な存在である人間は、必然的に生命の終焉という現実から逃れることはできない。日本人にとって「死」という自ら受け入れなければならない生の最終状況は、どのように捉えられているのだろうか。現代社会を生きる学生たちが、「死」というものをどのように受け止めているのか受講生にアンケート調査を実施した。?死は、怖いか??という問いに対して75%の学生が?怖い?と回答している。